本特許は、特異的な標的指向化を可能にする人工ウイルスキャプシドに関するものです。従来の薬剤送達や診断技術では、標的への結合特異性が不十分で、副作用や誤検出のリスクが課題となっていました。本発明では、トマトブッシースタントウイルス由来のβ－アニュラスペプチドを基盤とし、そのC末端側に40ヌクレオチド以上の長さを有する核酸アプタマーを連結。この構造を持つサブユニットが自己集合することで、核酸アプタマーを表面に提示した人工キャプシドが形成されます。アプタマーは標的分子に対して高い親和性と特異性を持つため、この人工キャプシドは従来にない精度で標的に結合できます。その結果、ドラッグデリバリーシステム（DDS）や遺伝子治療において副作用を低減しつつ薬効を高めることが可能になります。また、がんや感染症の診断においても迅速かつ高感度な検出が期待されます。自己集合型で効率的に製造できる点も大きな利点であり、医療・研究・創薬に幅広く利用できるプラットフォーム技術です。

つまりは、自己集合型の人工ウイルスキャプシドに核酸アプタマーを搭載し、特定の標的に高精度で結合。ドラッグデリバリーや分子診断に応用できる次世代技術です。