希土類金属を使わない高強度マグネシウム合金

高価な希土類金属を一切使用せず、シンプルな熱処理工程で強度を向上させた革新的なマグネシウム合金。コストパフォーマンスに優れ、広範な産業応用が可能な次世代材料です。

特許内容の解説

本発明は、希土類金属を含まない安価な合金元素を使用し、簡単な熱処理の組み合わせによって高強度を実現したマグネシウム合金時効処理材とその製造方法に関するものです。マグネシウム合金は、軽量でありながら強度が高く、さまざまな工業用途に適していますが、高価な希土類金属を使用することが多いため、コストが課題となっていました。

この特許では、マグネシウム合金の主要成分として、0.3質量％以上1質量％以下のカルシウム（Ca）、0.5質量％以上3.5質量％未満の亜鉛（Zn）、0.1質量％以上3質量％未満のアルミニウム（Al）を含むことを提案しています。これらの合金元素を組み合わせることで、溶体化処理後に成形加工し、さらに時効処理を施すことで、150MPa以上の0.2％耐力を実現します。

この技術は、焼付硬化性を有するマグネシウム合金の表面に析出物を分散させることにより、高い強度と耐久性を提供します。特に、マグネシウム母相の（0001）面上に分散した析出物が、材料の機械的特性を大幅に向上させます。

これにより、航空宇宙、自動車、電子機器など、軽量かつ高強度の材料が求められる分野での応用が期待されます。また、希土類金属を使用しないため、コスト削減にも寄与し、環境負荷の低減にもつながります。